2009年6月22日月曜日

手には電卓、目には花



昨日、府中市美術館にて「純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代」展を見てきました。
ディーター・ラムス氏は長くドイツ・ブラウン社にて製品のデザインに関わった方です。

1950年代まで、ラジオなど家電品のデザインでは装飾性が重視されており、その製品の本来の機能がデザインによって高められているとはいえませんでした。
いわば、ラジオの筐体にきれいな花のデザインがほどこされてはいるものの、スイッチはどこにあるのかわからない(笑)といった例です。
そうした時代と決別し、機能と無関係な装飾性の代わりに製品の機能性を使用者が直感的にひきだせるようなデザインを施した製品を市場に出していく時代のさきがけとなったひとりが同氏でした。

現在、私たちが小さく、軽く、直感的で使いやすい製品の恩恵に与れるのはこうした流れのおかげです。

しかし、いっぽうでそうした製品ばかりがあるような家で過ごすのは、私にはムリだと思えました。
合金、プラスチックという便利な素材とミニマムなデザインの製品だけに囲まれているのでは、なんだか疲れてしまいます。
こうした製品の恩恵をじゅうぶんに受けながら、私たちは緑を求め、花を求めるのです。

仕事に追われた週末に、ふと身近な自然に触れたくなるのも当然のことです。
ふだんはムダな時間やムダなエネルギーを憎悪するくらいに排除しながら、ムダなことに焦がれるのもまたひとにとっては自然なことなのです。

そんな当たり前のことに気づいたいちにちでした。

写真上はブラウン社の電卓(府中市美術館のHPより)
写真下は熊野に咲いていた花

Kraftwerk "pocket calculator"