行動食を考える


行動食というのは、「活動中にこまめに食する食べ物(お菓子を含む)」と考えていただくとわかりやすいでしょう。

たとえば、初めて登山やハイキングに行くようなとき、「頂上で食べるおにぎりが楽しみ」というイメージをおもちになられる方が多いと思います。
もちろん、それもよいのですが、もし頂上に着いておにぎりを口にするまでは何も食べないというのでは「キケン」なのです。

むずかしい話は省略して、かんたんに説明します。

アウトドアでは想像以上に体力や頭を使います。
筋肉をつかえば、からだのなかに蓄えられている糖質や脂肪が使われます。
頭を使うと、脳のエネルギーである糖がたくさん使われます。
また、汗をかくと水分や塩分、ミネラル分もからだからどんどん出ていきます。

こうしたことは、動き始めてすぐにからだのなかでおこりはじめます。

ということは、糖分や塩分そして水分などはどんどん補給してあげれば、つねにからだと頭をよい状態に保ち続けることができるわけですね。

具体的には、1時間動いたら10分休憩をひとつの目安として、休憩のあいだに行動食をとり、水分をとる。
水分については、私はハイドレーションパック(プラティパスという製品)を利用して、歩きながらでも好きなときにとれるようにしています。

では、どうしたら休憩のときに行動食を簡単にすばやくとることができるのか?
3つのポイントを列記しますね。
  1. 行動食はジップロックなどに入れて「ザックの雨ぶたなどすぐにとりやすいところ」に入れておき、出すのがおっくうにならないようにする。
  2. 水は扱いやすくて軽い500mlのペットボトルなどに入れてサイドポケットなどとりやすいところに入れておく。ハイドレーションパックがより効果的。
  3. 行動食は基本的に「疲れていても食べたくなるもの」で糖分、塩分、ミネラル類などがすばやく補給できるハンディなものを選ぶ。
超個人的おすすめ
  • 果物(酸味と甘味、ビタミンとミネラル類補充) → 山で食べるとおいしい! りんごやスモモなど現地調達できるとより楽しい。でも重いし、運ぶのに神経を使うのが難点。
  • ドライマンゴー(酸味と甘味) → 寒いときでも暑いときでもおいしいと感じながら食べられる。
  • 乾燥フルーツ(酸味と甘味、ミネラル類補充) → レーズン、りんごなんでもOK。すっごくキツイ運動をするときには乾燥イチジクをもっていく(筋けいれんの予防によい)。
  • ビスケット(甘味、カロリー補充) → おなかにたまって満足感あり。
  • ソイジョイ(酸味と甘味、ミネラル類補充) → 長時間にわたって血糖値を乱高下させることなく空腹感を癒してくれる。
  • チョコバー(甘味、カロリー補充) → おなかにたまる。ちょっと溶けてしまっても手を汚さず手軽。しかし疲れすぎていると甘さがくどくてからだが受けつけないときもある。一時的に血糖値がどかんと上がってだるくなるのも欠点。
  • ナッツ類(塩味、ビタミンとカロリー補充) →  しょっぱさと歯ごたえがうれしい!
  • サラミ(塩味と辛味、タンパク質とカロリー補充) → しょっぱさがうれしいのとおなかにたまる。しっかり噛むので脳がリフレッシュ。
  • 煮干しなどの小魚(塩味、タンパク質とミネラル補充) → おなかにたまる。しっかり噛むので脳がリフレッシュ。
  • カレーパン(辛味)や焼きそばパン(ソース味)など(カロリー補充) → おなかにたまり、食味が変わって新鮮。
  • あんぱん(甘味、カロリー補充) → あんこという「和の甘さ」がとてもいい! ようかんや大福もイケる。
  • クリームパン(甘み、カロリー補充) → クリームは疲れたときにおいしい。グループならスプレー缶入り生クリームも楽しくておいしい。ちょっとかさばるけれどw。
  • チーズ(塩味、タンパク質とカロリー補充) → もっちりした食感がほかの行動食と異なって新鮮。
  • グミ(酸味と甘味) → 食感が新鮮で気分転換できる。
  •  → 飲料用はもちろん、ケガしたときには傷口を洗ったりする医療用に使えます。
これらを、とにかく休憩の時には少しでもいいので口にする習慣をつけると、実は山頂でおにぎりが要らなくなってしまうくらいです。

天気がいいときの日帰り登山などで、おにぎりはほんとにおいしいものです。
いっぽうで、天気が悪いときなどはなぜか食が進まなくなります。
暑い時期は食中毒も心配です。ですから、天気や自分の体調や運動時の傾向を考えながら行動食とお弁当の組み立わせをトータルに考えてみるとよいでしょう。

たいせつなのは、空腹やのどが渇いたと感じる「前」に、少しでもいいから食べたり飲んだりすることです。

最後に行動食や水分を積極的にとらないとどうなるかをお話します。
からだや脳に栄養分を補給できないため、動けなくなったり、筋けいれんがおこりやすくなり、判断力もどんどん鈍ります。バランスを失って転倒したり、集中力を欠いて道に迷ったりしてケガや遭難を招く遠因となるのです。

行動中にこまめに食べたり、飲んだりすることは、活動を楽しく安全に行うために身につけてほしい重要なテクニックのひとつです。

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