「ブラックボックス」を減らす生活


電子炊飯器にお米と水を入れてスイッチ入れると、なんだか知らないうちにご飯が炊けている毎日の生活。
だから…
キャンプで、鍋を使って自力でご飯を炊くことができると「おおお〜!」という新鮮な驚きの声があがったりします。

その驚きをいっしょに分かち合えるのは楽しいこと。でも複雑な気持ちになるのも事実。


料理などのお手伝いをしている子どもが少なくなっているようです。
部活動や塾など、優先することがたくさんあるんでしょうが、少し心配。

日常生活のなかで、理屈はわからないがとにかく便利な結果を得られるしくみを仮に「ブラックボックス」と呼んでみましょう。

掃除機のスイッチを入れる → ブラックボックス(以下) → ゴミやホコリがとれた!
レンジでチンする →  → 食べ物がおいしそうに温まった!
お風呂のボタンを押す →  → 自動で水がたまってお湯が沸いた!

なんてのは序の口で

おはよう!と起きる →  → もう朝ご飯ができている!
ただいま!と家に帰る →  → もう夕ご飯ができている!

というのはご家族のだれかがブラックボックスになってくれているわけです。

昔は、こうしたブラックボックスが少なかったうえ、そこそこ育つとお手伝いしながらしだいにブラックボックスの中身が理解できたものです。
いまは、いつのまにかブラックボックス依存の大人になって、たとえば毎回の食事を外食やコンビニ弁当に頼らなくてはならなくなる恐れがあるのです。

ブラックボックスも理屈さえわかればつきあい方が変わるもの。
毎日の生活のなかで「ここがブラックボックスだな」ということを意識して「箱の中身」がどうなっているのか、に関心をもつことが重要だと思いませんか?。

シンプルな野外活動は、ブラックボックスの恩恵をあまりこうむりません。
だからこそ、自分で工夫して自分のちからで組み立てた生活を送るためのヒントに「気づきやすい」んです。
また、知的好奇心でうずうずしている子どもたちにとってはもちろんのこと、知的好奇心がこころのなかに潜んでしまったかのように思えるオトナのひとにとっても、シンプルなキャンプで試行錯誤しながら結果を出すことができたときの喜びは、いつまでも深くこころに刻み込まれるようですよ。

写真は、09年夏、野外でネパール風の野菜カレーづくりに奮闘する女の子

Give me the Simple Life
(オーストラリアの通信会社Optus社のTVコマーシャル)