2015年8月25日火曜日

お子さんが参加するその自然体験、安全ですか?

この一週間くらいの間に、重大な危険をはらむ子ども対象のアウトドア活動を見つけたので、リスク共有のためにあえて報告します。
写真はすべてそれぞれの団体がフェイスブック上で一般公開しているものです。

まず、子どもの懸垂下降体験。
基本的な道具の使い方を主催者が理解していないので、たいへん危険な状況下で実施されたようです。

ハーネスと下降器(この場合はエイト環)を接続しているカラビナが安全環付きではありませんので、なんらかのときに不意にカラビナのゲートが開いて、最悪の場合は懸垂下降している子どもが墜落する恐れがあります。
次に(むしろこちらの方が現実的な危機ですが)この子はグローブをしていないので、懸垂下降時の摩擦熱で反射的にロープを手放す恐れがあり、エイト環だとロープを保持しきれずに墜落する恐れがあります。

目線加工は地球野外塾。
子どもが手を離したときに備えてバックアップがあったようですが、使われているのは写真を見るとスワミベルトと呼ばれる単純なハーネスです。
ここに子どもの全体重がかかったときには脇の下の大動脈が圧迫されたり、この子がこのスワミベルトを頼りにしなければならない状況下で運悪くバンザイ姿勢になったらスワミベルトがすっぽ抜けて墜落する恐れがありますので、バックアップとしてはきわめて貧弱といえるでしょう。
この活動で事故がおきなくて、ほんとによかったです。それくらい危険です。

つぎの例です。
後立山連峰の岩稜地帯を縦走しているお子さんですが、ウェビングをこの子のウェストにぐるりと回して単にカラビナの環のなかを通すだけでサポートしています(サポート体制は写っていないので不明)。
このままでこの子がもし墜落すれば、この子の胴はこの子自身の体重と落下時衝撃によってウェビングで思いきり締めつけられてしまいます。
もしぶら下がりでもしたら重大な結果をもたらすことでしょう。

命にかかわる誤情報は「罪」

こうした例が罪深いな、と思うのは、なんでも吸収する子どもたちや、自分にない知識やテクニックを求めて参加している親たちが間違った知識を吸収してしまうことです。
もし、この子や親たちがこの経験をもとに自分たちだけの冒険に出かけたとしたら…
考えるだけでもおそろしいことです。

私たちもまたこうした安易な事例を重要な教訓として今まで以上に最新の安全策を学び、そして従来にあまり使われなかった方法も有効と思えるならば取り入れながら(例:鎖場でのフィフィ利用)よりいっそう安全な自然体験活動の実施に努めます。

危険な活動を見極めるためには…


いっぽうで、親御さんたちも、たいせつなお子さんを預ける自然体験活動をよく見極めてほしい、と希望します。

では、あぶない活動を見極める方法は…
残念ながら一概にはいえません。
ただ、
・リスクの所在について募集時に表示があったかどうか。
・その活動にそのリスクは不可避なのか主催者に質問してみる。
・そのリスクに対して回避/拒否することができるか質問してみる。
・そのリスクに対して過去にサポートされたことはあるか?
・自分の経験アップにそのリスクは本当に役立つか?
ということを主催者にきいたり、自問したりすることは大切です。

上記で疑問や不安がある場合は、活動不参加、またはキャンセルを視野に入れます。
キャンセルの場合は自己都合と判断されて、キャンセル時期によってはキャンセル代がかかったとしても、それをケチったりしてはいけません。
命をかけた勉強代と思って、つぎのお申込に活かしてください。

活動中に考えもしなかったようなリスクを「強要」されそうなときには、たとえ戻ること、あるいはその場にとどまること、あるいは別料金を支払うことを視野に入れても冷静に主催者と話してください。
子どもだとそんな交渉はできないので、考えただけでも気が重いです。
場の雰囲気を重んじるあまり「まあ、だいじょうぶだろう」と思って亡くなった方は数多くいます(例:トムラウシ大量遭難事件など 別記事あり → こちら)。