新コース「地図にない道をゆく低山ハイク」無事終了。

目指したのは中央の鶴島御前山から右側の栃穴御前山への尾根歩き。
どうってことなさそうにみえるんですが…
絶好の秋日和となった10/25(日)、4名のご参加者(お知り合いどうしで、うち2名が小4と中1のお子さん)とスタッフ1名あわせて5名で上野原市での低山ハイクが無事終了しました。

低山ハイクといっても、その醍醐味はさまざま。
このハイクは山梨県上野原市の標高500mに満たない山々を、舗装道路もあわせてたった7km歩くだけだったのですが、下見のときに地図にでていないところが迷いやすく比較的悪路だったので、きっと参加者にとっては手強いだろうと感じました。
だからこそおもしろいな、とも。

参加してくれた小4の女の子と中1の男の子は兄妹。
お兄ちゃんが小4だったときに地球野外塾の「地図にない道をゆく石老山」で山デビューして、読図にすばらしい才能を見せました。
その成果を見ていたお母様としては、娘さんも小4で山デビューさせたかったのでした。
お母様とごいっしょいただいたご友人はこのふたりのお子さんをよく知っているし、野外塾の活動になんども来ていただいていたので、アットホームな感じでみなさんにどんどんチャレンジをしていただきました。

低山ハイクは、往々にして登山口までが核心部だったりします。
満足な道標がない場合が多く、しっかりと地図を読まないと登山口に着くまでにロスタイムが出て、あとの行程が厳しくなる場合があるので要注意ですね。

この日は、みなさんよく地図を読み切って登山口まで順調に進みました。
そこからはあまり道はよくないとはいえぐんぐんと登ってまずは鶴島御前山到着。
しかし、続いて栃穴御前山を経て四方津(しおづ)に至る道はいよいよ悪くなります。

ちなみに御前山というのは、御前という尊称を使うので、なにかすごいものの前なんだろうなと推測できます。位置から察して富士山の御前という意味なのかと思っていましたが、富士山は見えないんです。
御前の主は信玄公だということが下見後に調べてわかりました。

話をもとに戻しますね。
小4の女の子はいっそう悪くなった道を半べそかきながら歩いていましたが、子どもは強いですね、悪路をものともしないお兄ちゃんが朽ちた木を砕いて中にいる虫を探しながら歩いているようすをみて、それに引き込まれて元気になるんです。
そうやって、子どもはたわいないことに力を得ながら大きくなるんですね。

斜めに落ちゆく太陽にせかされるように、足場が悪い下りでは迷わずロープを出してどんどん下り、影が長く伸びるような時間に麓の集落に着きました。
下りで子どもがコワく感じているんだな、または疲労していて足元がおぼつかないな、と判断したときは、背面で片掛けのチェストハーネスを作って前を歩いてもらって、後ろでサポートするととっても安心されます。逆に登りはロープを出して前からサポートしてあげるといいです。
たったそれだけで元気を取り戻してまた歩けるようになるのです。
子どもの体重なら、よほどの場面でない限り同時に歩いてもだいじょうぶ。
ぼくらの場合は、下見で「あそこは一緒じゃマズいな」とか覚えてますし。
この日は、下りで立ち木とロープを使って、すばやく次から次へロープを掛けかえていく手順を大人の方に手伝っていただいたら、とっても興味をもってくださいました。
こういう反応はうれしいし、またこれこそがぼくららしいな、と感じました。

静かな集落の舗装道路の脇で少し休んでいると、親切な農家の方がたっぷりと里芋をくださり、いいお土産になりました。信玄公の直筆といわれる伝書をたくさんお持ちなんですって。見てみたいから、今度訪ねてみます。

少しコワい吊り橋を渡って、背丈ほどある薮をひとこぎすると夕刻の旧甲州街道に出て、ようやくひと安心。
あとは月に見守られながら狭い歩道を歩いて、とっぷりと日が暮れた四方津駅に着きました。

数日後にお母様からていねいなお手紙をいただきました。
娘も、こわい上り坂を過ぎてからは、また元気になって、
長時間歩き切ったのでほっとしました。
普段よく、疲れた~と言う事が多いので、兄と比べてもともと体力がないのかなと
思っていたのですが、充分ありそうで安心しました。
次の日も、昨日は大きな切り株にぶつかったと、
(うれしそうに)文句は言っていましたが、ハイキング嫌いにもならず、
これからも一緒に色々な所に出かけられそうで楽しみです。(抜粋)

おぼつかない子どもにはつい大人がまるごと面倒見ちゃおうとしてしまいがちですが、自分より年上や年下の子どもたちの所作をみながら学ぶという逞しさがあるように思えます。
万一のときの大人のサポートをそれとはわからないように準備しながらも、子どもどうしが互いに切磋琢磨する体験を積み重ねると、きっと強く育つのでしょうね。
手をかけすぎず、流れを見守ることが大切だな、と改めて思った日でした。

ご参加者の皆様、ほんとうにありがとうございました。

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