トムラウシ遭難を悼む

今朝、ニュースで北海道・トムラウシ山(トムラウシ岳)で9人が低体温症と思われる原因で死亡したという希有の遭難事故を知って戦慄しました。同じ大雪山系の美瑛岳でもひとり亡くなっています。

同様の遭難を予防するために、ぜひ事故経過の詳細が明らかになってほしいものです。

断片的な情報ですが、いまわかっていることは
・遭難者のほとんどが登山ツアーに関係していた(単独行1名?)
・亡くなられた方々は全員シニアと呼ばれる年齢の方々
・出発時から風が強く、気象条件があまりよくなかった
・初夏のトムラウシでは同様の気象遭難が数例ある
ということです。

下山したひとの話で「ばたばたとひとが倒れていった」という表現がありました。
各人の生理的な限界が同時期に訪れるような、破滅的な状況だったようです。
また、遭難時にはツアーが瓦解して、各自がばらばらにエスケープしたようです。
取り残された方々のことを考えると言葉もありません。

旭岳を主峰とする大雪山はのびやかですばらしい峰々が続きますが、悪天時はたしかに風を避けるのもたいへんです。どの場所でいつエスケープを決断するかが求められます。

仮に「もうやめたい」と思ってもツアー全体のペースとムードを変えることはむずかしい参加者の立場、いつがPoint of No Returnなのだろうと迷いながら(あるいは認識できず)「そのとき」を超えてしまった引率者。そして参加者。

過去の同様の遭難例から推すと、構成員ひとりひとりのつながりが希薄な登山ツアーのアキレス腱は、まさにここにあるといえます。

野外塾がつねに参加者に「チームとして主体的に活動を行おう」と提言している理由も、このアキレス腱のことをしっかり認識し、チームならではの長所を引き出してほしいからです。

遭難された方々を悼み、体調を崩された方々のご本復をお祈り申し上げます。