プラスチック製バックルに見る「道具」の進歩。

70年代後半からでしょうか、アメリカ製ザックの開け閉めバックルやヒップベルトのバックルに工業用プラスチック製バックル類が採用されはじめました。

この使いやすさの衝撃は忘れられません。
それまで店頭で主力だったヨーロッパ製のザックに採用されていた金属製のバックル類はあっという間に駆逐されました。

今日の好天下でザック類の乾燥をしたところ、これらプラスチック製のバックル類にも製造年とともに少しずつ変化が見られることがわかったので、ザックに使われているバックル類のうち最大のウエストベルト用バックルを例にとって見てみます。
すべてナショナル・モールディング社の製品です。


96年製のバックル。モデル名はLOCK MONSTER。
シンプルです。



98年製のバックル。
オスの形状が複雑になっていますが、ANTI-BREAKの文字が入っていました。
以前の形状だと、オスのバックルの突出部が折れたりしたんでしょう。
オスのモデル名はSTEALTH、メスのモデル名はWARRIORと、オスとメスで違うモデルを採用しているのがDANA DESIGNらしい。ともにカッコいいモデル名。




05年製のバックル。基本的にオスの形状は上記のSTEALTHを踏襲しています。
モデル名はROCK LOCKSTER。ちょっとナンパな名前です。
オス・メス側ともに肉抜きがされて軽量化が図られていますがいちばんうえのモデルが30g、まんなかと肉抜きされたこのモデルはともに40gと初期に較べて10g重くなっていました。
また、このモデルではオス、メスの左右が上記2モデルと変わっているのがもっとも大きな変化ですね。

ナショナルモールディング社は総合ファスナーメーカーですが、こうしたサイドレリーズ型バックル(メスに噛んだオス側バックルの横側を指ではさむことによって解放するバックル)で特許を申請しています。 → こちら

こういうことを真剣に考えている人たちが、私たちの日々の生活を便利にしてくれるんですね。

ちょっとした比較でしたが、これら3モデルでじつは使い勝手に大きな変化はあまり感じません。LOCK MONSTERではすでにバックル全体が人体のカーブに沿ったゆるい曲線状の形になっていて、「アメリカ人てすごいなあ」と思いました。
個人的には形状の差よりも、樹脂の柔らかさによるのでしょうか、「パチコン」とはまるバックルか、モッチリとはまるバックルか、の方が使用感の差を感じます。
自分はモッチリはまるバックルがより好きです。

ゴールデンウィークに行く熊野古道雲取越キャンプでも、こうしたスモールパーツの進歩がきっとストレスの蓄積を防いでくれます。
800年前に雨中の熊野古道をたどってあまりのつらさに泣きがはいった藤原定家一行も、もしゴアテックスや現在のようなよいザックがあったら……
そんなことを思いながら定家が歩いた熊野古道をたどるのも一興です。