ウカウカしてられない羽化。

まるでエイリアン。 
うんせ、うんせ。
羽はまだ若葉のよう。
いま脱いだばかりの自分の殻からからだを少し回し、真南に頭を向けました。 
あとは天のみぞ知る。
ここで外敵に襲われたら完全にオダブツ。
みるみる間に、トンボらしくなってきました。 
しっぽからなにか液体を出したようです。
太陽に光っています。
ここから少しすると、パッとまるで幕体のように羽を広げて飛び立ちました。
なにを血迷ったのか、天敵にパクッと食べられてしまってもオカシクない白昼に堂々と羽化しているトンボちゃんに、奥多摩の「あの沢」で遭遇。

半世紀生きてきて、はじめての体験でした。

じっとそのようすを見守ること30分。
ヤゴから出てきたトンボは、きれいな石のうえで陽光を浴びます。
すると、若い芽のようだった羽がしだいにトンボの羽らしくなってきました。

自然のままに成り行き任せだったのですが、最後に首をクキクキっと動かすと、それまで合わせていた羽をパッと広げて、一瞬のうちに梢へ飛んでいきました。

見守る私たちをその複眼で見ながら、「ヤベエ、ヤベエ! 食われちまうよ」と思っていたのかもしれませんね。

飛び立つようすを見ていた私たちは、思わず拍手!
生き物ばんざい!ってな感じの、すごーく印象的なひとときでした。
あー、すばらしかった♪

豊かな自然のなかでの「奥多摩はじめての沢歩き」いよいよ始まります!