2023年:こども基本法がある生活。

こども基本法が今年4月から公布(発効)されます。

正直なところ、昨年末にこの法の経緯に詳しいひとと話をするまで、あまりピンときていませんでした。

同法のあらましを理解するため、子どもの権利を守る法整備の歴史的流れをまとめたのが冒頭の図です。

新しい理念が加わった新潮流の法律。

作図して気づいたことがありました。
こども基本法は、1950年代までの子どもに関する法整備とは異なる潮流にある、と。
戦禍、被災、宗教や人種による差別などから子どもの健康と生命を守るための普遍的な理念に加え、子どもが意見表明して社会参加できる新しい理念を容れて国連で成立し、日本が批准した「子どもの権利条約」がこども基本法の源流です。
子どもの権利条約に定められた権利は多岐にわたりますが、それらの元になる4つの原則はつぎのとおりです。

画像
日本ユニセフ協会 子どもの権利条約カードブックから抜粋

また、40条からなる「子どもの権利条約」のあらましを理解しやすかったのは、日本ユニセフ協会が発行した「子どもの権利条約カードブック」でした。
https://www.unicef.or.jp/kodomo/nani/siryo/pdf/cardbook.pdf

子どもの権利を守る法がこれまでなかった。

人々の属性に応じた権利の基本を定めた法律、たとえば…
・障がい者の権利を定めた障害者基本法
・女性の権利を定めた男女共同参画社会基本法
では国や自治体の責務などが記されています。
しかし子どもの権利についてきちんと定められた法律はありませんでした。

よいように考えるなら、そうした法律がなくてもいままでは折り合いがよいところで社会が回ってきたといえます。
しかし、そうしたあいまいな環境下でまれな事例では、子ども不在の課題解決によってその権利が蹂躙されてきた恐れがあります。
今後、そうした事例を予防する指針となり、またそうした事例が起きたときには法に則って判断をできるのが今回の立法の成果のひとつだといえます。

法のあらましを知って日々に活かす。

こども基本法のあらましを知り、親、教師はじめ、子どもと接する機会があるすべての大人が、それぞれ自分たちのフォロー範囲で子どものどんな権利をどのように守るか、法律が施行される4月までに一度は考えてみてもよいでしょう。
こども基本法のあらましは内閣官房が公開している以下でご確認できます。https://www.cas.go.jp/jp/houan/220622/78gaiyou.pdf

範囲が広いので、この法の活用法はそれぞれの立場で変わるでしょう。
子育てする家庭をフォローする社会的環境の整備も大事だと明記していることが、興味深かったです。

疑問:どなたか、教えてください。

子どもの権利、健康や命が守られるべきことはわかりやすいです。
いっぽう、意見表明と社会参加については、一般的に権利にともなう責任があるのではないか、と私は考えるのですが、自分が調べた限りではこの点について触れている記述は見当たりませんでした。
一般的に小学生くらいまでの子どもに責任能力はないとされますので、社会経験が浅い子どもの社会的な権利の拡大に、課題を感じました。

気づき:子どもには誠実な姿勢で説明を。

子どもって、意外に説明する内容よりも、その場の状況や説明の口調などの総合情報をまるまる取り入れて、そこから自分の判断を引き出しているように思えることが多いです。
日常では子どもの意見をきき入れられないことも多いと思いますが、子ども自身を尊重し、誠実に説明するようすを感じ取ってもらえるように努めることは大切、だと再認識しました。

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